上の本を入手したので読み進めながら気になる箇所をいろいろ調べてみたときのメモ。
※この記事の内容は自分のメモであり、この本の内容そのものでも本の主張している内容でもありません。
金利
- 政策金利・短期金利・長期金利
- 短期金利 = 取引の期間が1年以内の場合に適用する金利
- 長期金利 = 1年以上の金利
- 政策金利 = 中央銀行が設定する短期金利
- 名目金利・実質金利
- 名目金利 = 普通に目にする(=物価上昇率による調整を行っていない表面上の)金利
- 実質金利 = 名目金利 - インフレ率
- 名目長期金利 = 景気の強さ + 需給ギャップという見方もできる、需給に乖離がある場合は不況になる可能性大
- 金利の予測はファンダメンタル、テクニカル、計量学的なアプローチがある
- Fed Watchingも重要
名目金利は債券またはローンの公示金利 = 借り手が貸し手に支払う実際の金銭的価格。実質金利は投資家がポジションを償還した後の購買力を見るためにインフレ率を考慮したもの。債券にはインフレ率に連動して金利を支払う Treasury Inflation-Protected Securities (TIPS) というものがあるが、これはインフレ率が上がってもTIPSが下落しないという意味ではない。
債券にはさまざまな種類ががるが、特にハイイールド債券は株価との連動性がある。ハイイールド債と国債のスプレッドが広がる局面は景気後退の懸念が強い場面であり、ピーク時は株価のボトム。
国内経済
- 景気循環にはいくつもの波が重なっている
- コンドラチェフ=50年周期、画期的なイノベーションによってけん引される
- クズネッツ=20年周期、建築による循環
- ジュグラー=10周期、設備投資による循環
- キチン=数年周期、在庫による循環
- GDE(国内総支出)の構成
- 民間最終消費支出、個人消費に相当
- 政府最終消費支出
- 国内総資本形成=固定資本形成と在庫品の合計
- 実質値と名目値はしっかり区別する
- DI(Diffusion Index)
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DIは5段階ある選択肢それぞれの構成比(回答企業割合)を算出し、“良い(増加)”グループの合計値(構成比の合計)から“悪い(減少)”グループの合計値(構成比の合計)を差し引いて求める。(出典)
- 業況判断DI・予想業況判断DIなど様々なDIがある
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- 消費者物価指数(CPI)
- 全国の家計が購入する財・サービスの価格を見て物価の変動を観測する指標
- 日本に限れば東京都区部CPIが早い段階で公開される
国内の経済予測をするには、シンクタンク・IMFなどが公開する経済見通しを参考にできる。複数の見通しを合わせることで市場のコンセンサスらしきものを見通すことができるかも。
米国経済
米国では全米経済研究所が景気循環日付の認定やリセッションの認定を行う。たとえば2020年2月の例は以下。
Business Cycle Dating Committee Announcement June 8, 2020 | NBER
これらの発表は実際に不景気になってからの発表となるためラグがある。
- 景気の拡大局面は50カ月、後退は12カ月程度続くことが多い
- 景気先行指数として知られるものには例えば以下のようなものがある
- 週平均労働時間
- 消費財新規受注
- ISM新規受注件数
- 住宅建築許可件数
- 10年国債 - FFレート
米国金利・金融政策
大きなトレンドは重要指標を確認しつつ考える必要がある。多くの指標は毎月 or 四半期ごとに発表される。
- 米国国債10年
- ISM製造業指数
- マーケット製造業PMI
- GDP
- ISM非製造業指数
- 雇用統計
- ミシガン大学消費者信頼感指数
- NAHB住宅市場指数
- ニューヨーク連銀製造業指数
- 生産者物価指数(PPI)・消費者物価指数(CPI)
- 企業在庫
- 鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力、稼働率)
- 住宅着工件数・許可件数
- フィラデルフィア連銀製造業景況指数
- 中古住宅販売件数
- 消費者信頼感指数・ミシガン大学消費者態度指数
- 失業率
- 非農業部門就業者数
これらの代表的な指標に加え、保有している銘柄のドメインに応じて重要な指標は異なる(海運ならば大手小売の在庫、資源関係ならば石油・天然ガス価格、大手通信ならば支払滞納しているユーザー数など)。また、GDPには速報値・暫定値・確定値があり、頻繁に値が修正される点に注意。
企業在庫(Retailers/Bussiness Inventories)
ほとんどの場合、在庫の量の推移だけでは在庫が増えているかわからない。売上高との比率を見ることが多い、ただしこのデータは2カ月遅れの公開なので速報性がない。TGTやWMTの決算・カンファレンスコールにて問われた在庫に関するコメントから在庫の増減を推定するのも重要(かも)。
設備稼働率
設備稼働率が高い(とくに84%以上になる)→設備投資が活発になると連想できる。設備投資が過剰に活発になる=供給が追い付いていないと推察できる状態ならば今後のインフレが高まることが示唆される。80%を割り込むと景気後退が意識されるという。
鉱工業生産指数(Industrial Production index)
米国の製造業(米経済の20%)の鉱工業生産動向を指数化したもの。米国の製造業の生産活動の状況、設備投資の状況を反映しているため、生産動向を測る上で重要視されている。 鉱業、公益事業、製造業(耐久財:機械、輸送機器、電気機械と非耐久財:食品、化学). データが集計・測定されて数週間で公表されるためタイムリーな指標となる(出典)
最終製品とエネルギー・原材料の企業が混在しているため、とくにエネルギー(石油など)のボラティリティが高いときは製造業の実態とこの指数の変化が一致しないかもしれない点に注意する。
個人の消費
乗用車販売台数・住宅着工件数・消費者信用残高・ミシガン大学消費者信頼感指数・個人の貯蓄率など。ミシガン大学消費者信頼感指数は将来先のインフレ期待に関する質問があるため、消費者のインフレに対する考えを推定することができる。
FED・FRB・金融政策の見通しを確認する資料
- FOMC声明文
- FOMC Economic Projection
- 地区連銀による経済状況報告
- FOMC議事録
- FED Watcherによる(特にブラックアウト期間などの)記事、2022年9月現在は@NickTimiraos
FOMC
通常、youtubeでパウエル氏の会見はリアルタイムで配信される。日本時間だと大体午前3時~4時。
FED Watcher
米国の連邦準備制度(FED)、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を分析している専門家であり、FRBの意思決定の一部はFED Watcherを通じて発信されると見なしている人もいる。
The Fed is barreling towards a fourth straight 75-basis-point rate rise at the November FOMC meeting.
— Nick Timiraos (@NickTimiraos) 2022年10月21日
⁰That meeting could serve as a critical staging ground for future plans, including whether and how to step down to 50 basis points in December https://t.co/vPMSXDjHL8
具体的には、たとえば上記観測記事を通じて12月の金利上昇は0.75bp上昇がコンセンサスだったものが
Federal Reserve officials are barreling toward another interest-rate rise of 0.75 percentage point at their meeting Nov. 1-2 and are likely to debate then whether and how to signal plans to approve a smaller increase in December.(引用元)
0.50bp上昇になる余地があるかもという内容だった。もちろんこの記事だけを根拠としているわけではないものの
この日の市場は+になった。
セクターローテーション
景気が落ち込み金融緩和→景気が過熱しすぎてインフレという波のなかで、産業には周期的な波が生まれる。セクターローテーションとは停滞期の各局面で投資成果が得られる産業群のパターンのことを指している。
大相場があった場合、それが終わった後は買われにくい。例えば、2020年4月後に長い間注目されていたハイパーグロース株が2022年明け以降にまたすぐに復活するとは考えにくい(と思う)。上げ切った後は50〜70%の下げが来る可能性を考慮すべき。
また、特定の産業や会社について知識が得られやすくなれば得られやすくなるほど上昇余地は無くなる。多くの人がその会社の上昇余地を知り購入するから、知れ渡る=買い手が少なくなることを意味する。
便宜上4つの領域に分けているものの、どこまでが景気の始まり〜終わりかは全米経済研究所の景気循環日付判定委員会が後で判断する。そのため、いま現在どの段階にいるかは自分で判断する必要がある。
- リセッション後(景気の拡大期)
- ヘルスケア・消費安定株(KHC)・公益事業(AGR・AWK)は景気に関係が無いので安定している
- 金融緩和が行われ金利が下がる
- ハイパーグロース株・成長株が注目されやすい(DDOG・HUBS・DOCS・SITM)
- 景気が良くなるまで安定して収入が得られる業種も少しずつ上がる
- 成熟期
- 景気敏感株が上昇する
- 製造業購買担当者指数などを参照しつつ、景気が減速しているかどうか確認する
- どの業種も伸びるので、VTIなど全体を平均的に購入できる指数が強い
- インフレ時(後退期)
- 新高値を取る銘柄数が減少し市場を牽引する銘柄数が絞り込まれてくるかを注視する
- 前年度の業績が高かった分、前年同期比との比較やガイダンスの内容が悪くなる
- 騰落線が減少方向に向き、経済指標が悪化し始める
- 石油・天然ガスなどの資源は恩恵を受ける(XOM・CVX・PXD)
- タンカーなどの海運の一部もプラスになる(ZIM・GOGL・FLNG・TNK・TRMD)
- 人件費が高くなると従業員が多い会社はマイナスになる(WMT・TGT)
- 金利の上昇と株価の関係を注視する
- Don't fight the Fed
- 長短金利差が0になるタイミングがあるかもしれない(これはすぐにリセッションが来るということではない)
- ドル安のときに海外へ積極投資し、ドル高になるとお金を米国へ戻す動きが出る
- リセッション手前(停滞期)
- リスクオフになると長期債権の利回りが低下する
- 長短金利の差が0になる→SP500が-20%程度下げる→リセッション、この期間は1年〜2年ほどかかる場合がある
- 金利が高く個人が家を購入しにくくなる
- 物価が高い+人件費が高い影響を受けない→バイオテクノロジー(AMGN・REGN・INCY)、特にcash cowとなっている銘柄に注目する
- ディフェンシブはインフレの影響を考える(たとえば原料費が嵩んで決算がxになる可能性があるか・人件費高騰が影響しないか)
- 景気が悪いと石油などは需要が無くなるので下がる